今月は白樺ようこさんの歌を取り上げてみます。
元歌
天高く春のはじける音のする黄色いボールも跳んでゐるよ
(千代)はじける音は、テニスボールがポーンと打たれて空に上がった時のことを詠っていると思うのですが、この歌では、何か別のものがはじけて音がして、また黄色いボールも跳んでいる、というように読めますので、そこを少し表現を変えるといいのではないか、と思います。
(白樺)春も新しい息吹で弾んでいるように感じたので“も”としました。
(北里)きっと硬式テニスのコートの様子ですね。「春のはじける音がする黄色い」まで「ボール」にかかりますか。そうだと意味はよくわかり、ボールを打つ音が聞こえてきそうです。ただ修飾語が長すぎでは。「音がする」で切れると、何の音なのか、「ボールも」と「も」があるので他に何、となってしまいます。
(白樺)「音のする」で一旦切れます。
(中井)「天高く」というと秋の空のイメージが浮かびます。
(白樺)「天」として大らかさも強調したかったのです。
「春のはじける音」と黄色いボールとは関連が無いのでしょうか。それとも「春のはじける音」はボールが弾む音を指しているのでしょうか。
(白樺)春とボールが両方弾んでいる様子でした。
後者なら「青空に春のはじける音たてて黄色いボールが弾んでいるよ」
最終歌: 天高く春のはじける音のするコートに弾む黄色いボール
春の感じがよく出た歌だと思います。冬から春への入り口に、真っ先に咲くのが黄色の花なんですよね。春を先取りしている色がコートに弾んでいるというのは、春の明るさと浮き浮きする気分が伝わって来ていいですね。
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