今月は北里かおるさんの歌を取り上げます。
原歌:*母の日に母の着物を虫干しすもう着ることはなしと思うも
着物を着る機会が多い自分との共通点から北里さんのこの歌が一番すんなりと心に響きました。歌が心に響くとはこのようなことを言うのかなと思いました。母親から譲りうけた着物は、柄も色も自分の好みの者とは違うことがあります。袖を通すこともないとわかっていても、手入れはしっかりとする北里さんの人柄が伺えます。母親が袖を通した着物は、母親の肌にふれているような感じが、そのまま伝わってきて、また格別の味わいがあります。手入れが大変な着物の虫干しを、母の日にした、ということは、なんと親孝行な娘なのでしょう。これからは、自分も同じように母親から譲り受けた着物を、丁寧に手入れをしようと思い直しました。今月の題詠にぴったりの歌だと思いました。
(中井)母への挽歌。いい歌だと思いますが、結句が弱いと感じました。敢えて繰り返して強調するのもいいのではないでしょうか。
「母の日に母の着物を虫干しすもう着ることはない多分ない」
(千代) 何となく哀感の籠った歌ですね。虫干しをしている本人の思いがせつなく伝わってきます。4句と結句ですが、「もう着る時もなきにと思えど」「なし」と言い切ることは強すぎると思えます。
(白樺)思いが伝わりよいと思います。結句は「思へど」ではどうでしょうか。
合評後の歌
*母の日に母の着物を虫干しすもう着ることはなしと思えど
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