今月は北里さんの歌をとりあげます。
原歌:真夜中に降りつづきおり牡丹雪今日という日をおおいつくすか
短歌において助詞の遣い方は難しい事のひとつです。三十一文字の短詩形文学では言葉が凝縮されているのでたった一文字の違いでもそこから生まれる余韻や詠み手の受け止めかたはいろいろです。この歌の場合も「に」と「を」の違いで雪の降る状態が大分変わってきます。「に」の場合は、雪は真夜中のある時点で降っていた状況が頭に浮かびます。「を」の場合は、雪は真夜中をずっと降り続いていたことが想像できます。
ある状態を描写する場合に過去形、現在完了形、現在進行形がありますが、この歌では「降り続きゐる」と現在進行形にすることでイメージがよりはっきりとしました。
(白樺) 順序を少し変えてみました。例えば「牡丹雪おおいつくすか今日ひと日真夜中を降り継ぎし後」
(千代)“真夜中に”を、“真夜中を”にしたら、真っ暗な闇に、あとからあとから意志あるごとく降り続いている真っ白な雪のイメージが、さっと脳裏をよぎるような気がします。“ふりつづきおり”よりも“降り続きいる”がいいと思います。“おり”は、ほとんど人間に対して今は使われたり、“いる”のもっと改まった言い方に今はなっているので。
(中井)現在進行中なので「降りつづきゐる」とし、結句を「おおいつくさむ」としてみてはどうでしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿