担当:北里 原歌;向島の萩のトンネルくぐり行けば晩夏の陽射しのゆうらり透ける
10月はオノマトペを題詠としましたが、出題しておきながら自分で思っていたより大変で苦戦しました。中井さんには「オノマトペのある短歌」ということでインターネットから歌をいろいろと紹介して頂きましたが、その時の中井さんのコメントに、“実際にあるものをそのまま使ったのでは創作として芸がないということがわかる”とありました。同感です。メンバーのみなさんは果敢に挑戦していたと思います。 今回は白樺さんの歌を取り上げました。自分の中でオノマトペが一番しっくりきましたし、「ゆうら透ける」という表現がきれいだと思いました。「萩のトンネル」は白樺さんがメールしてくれた写真で初めてみましたが、本当にトンネルになっていて驚きました。「時」はひらがなにした方が見た目、「晩夏」にスムーズにつながるように思いましたが、どうでしょうか。オノマトペを効果的に使うとなると本当に難しいもので、宇津木さんにはオノマトペに関する河野裕子の講演記録、萩さんには川野里子さんのエッセイからオノマトペに関する一節を紹介して頂き、それもまた良き学びの機会となりました。
<合評> (萩)後半がいいと思います。“くぐり行けば”ですが少し説明的な感じがするので“くぐる時”ではどうでしょうか。また4句と結句を入れ替えて“、、、くぐる時ゆうらり揺れる晩夏の陽射し”とするとより結句として納まりがいいように思いました。 (千代)最初、“萩のトンネル”とあったので、そのような名前が付いたトンネルがあるのかと思いましたが、“萩”という花のトンネルのことですね?萩はトンネルを作るほど背が高いのですか?“萩の群(むら)々過ぎゆけば”では、違いますか?
(中井)萩のトンネルって良いですね。私も宮城野萩が大好きです。「行けば」の「ば」は無い方がいいのと、「陽射しの」の「の」も無い方がゆうらりのリズムに乗りやすいと思います。「向島の萩のトンネルくぐり行く晩夏の陽射しゆうらりと透け」敢えて言いさしの形にして、余韻を・・・。
(北里「くぐり行けば」の)字余りが気になります。「萩のトンネル」とは素敵ですね。萩は秋のイメージですが、実際に晩夏に咲いていたのでしょうね。「ゆうらり透ける」がいいと思います。
最終歌;向島の萩のトンネルくぐる時晩夏の陽射しゆうらり透ける
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