担当:白樺
今月の一首は泰いずみさんの以下の歌を選びました。
刺し子さす時の間こそは吾の癒し閉ざされし壁に風穴の開く
この歌を選んだ理由は、自分の心象風景を短歌にするのはなかなか難しく、心の中をはきだして歌にするということは勇気がいることと思ったからです。
いずみさんのこの歌は「閉ざされし壁に風穴の開く」という表現で素直に自分の気持ちをはきだしています。初句の「刺し子さす」で、作者はきっと手芸やものづくりが好きな人ではないかと想像もできます。同時にこの作者の日常生活において何らかの圧力や困難があり、
それでも自分自身の為に楽しめる時間がもてているということにいくばくかの安らぎを読者は共有できます。
生活詠はとかく表面的になりがちですが、心の底を素直に歌にするということにチャレンジされたところがよかったと思います。
(萩)気分転換できる何かは絶対に必要ですね。〝刺し子さすひと時だけは癒やされて~“と考えました。
(千代)少なくとも“刺し子”という、心を鎮めることのできることがある、ということは救いですね。
(白樺:最初の句と同様に作者の存在感があってよいと思います。下の句と上の句がはっきりしていて詠みやすいです。)
(北里)目の付け所がいいですね。無心になって何かに打ち込むとストレスも吹き飛ぶような気持ちになれますね。「時たつを忘れて刺し子さす吾の心に癒しの風の吹きいる」としてみました。
(中井)とても気持ちが伝わって来る歌です。「時の間こそは吾の癒し」良いのですが、ゆったりした時の感じを出したいので「時の間(はざま)に癒されむ・・・」としたら軽すぎますか?
(もも)上の歌のあとにこの歌なので、状況がよりわかりました。「刺し子するときはわが身を癒すとき閉じた心に開いた風穴」などと考えてみました。
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