2013年8月1日木曜日

2013年7月短歌と合評

担当:萩

7月の短歌と合評は北里かおるさんの一首を選びました。「色を感じさせる言葉」に注目しました。尾崎左永子さんは〝桜色“とか〝バラ色”など多く使われている言葉には注意が必要だけど色彩語にはイメージを限定して印象を強め、読み手に伝えやすくする性質があると書いています。また、色彩語を使う時には他の部分の色をなるべく抑える工夫をし、色だけが目立たないようにすることが大事だとも書いています。北里さんの短歌は前半はオレンジ色のという初句でインパクトを与え、後半は押さえ気味の表現で整っていると感じました。最終歌で結句を「ひとり吾のみ」としたことで後味のよさみたいなものが感じられます実際の色ではなくても色彩を感じさせる言葉を上手く取り入れることで格調高くなるような一首が作れたらいいですね。

原歌:オレンジのレインコートが駆けてくる待ち人来ぬは吾一人なり

(萩)先月の一首の連作ですね。オレンジのレインコートの鮮やかさと待ち人が来なくて少し沈んでいる作者が対照的に描き出されていていいと思います。
   
(千代)上の句は何かドラマの最初のシーンのようで、なかなか興味深いですね。結句を言い切ってしまうところが固すぎるよに思います。・・・待ち人来ぬはひとり吾のみや としてみました。

(中井)展開が利いていて良い歌ですね。オレンジが華やかさを演出し、その後の落差を強調するのに一役買っています。

(もも)ひとりふたりと、待ち人が来て、嬉しそうに笑顔で「待ち合わせ場所」を去って行く人々の中に、今か今かと待ちわびる作者。そして、ついに待ち合わせ場所には見知らぬ誰かさんと二人きりになり、そのひとの待ち人が奇麗なオレンジ色のレインコートで颯爽と現れたのですね。取り残されたような作者の気持ちが読者にすぐに伝わってくる一首です。
                                   
(白樺:人が駆けてくるのではなく、レインコートが駆けてくるとしたところが視覚に訴えて、雨の中を人待ち顔で待っている情景がよく浮かびます。)  

最終歌:オレンジのレインコートが駆けてくる待ち人来ぬはひとり吾のみ

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