2021年6月4日金曜日

令和三年五月 円居短歌会合評

 担当:白樺

原歌:「冷蔵庫に残り物あり」とメモ残し吾にリマインド多用な日々は

最終歌:「冷蔵庫に残り物あり」とメモ残し吾にリマインド多用な日々は

今月は深沢しのさんのお歌をとりあげました。

英語圏の米国に長らく住んでいると日常とりかこまれている英語に慣れてしまいつい意識せずに短歌でもカタカナ英語を使ってしまいがちです。このお歌ではカタカナは“メモ”“リマインド”と二か所使われています。”メモ“は日本語の中で日常的に使われていて特に違和感はありません。”リマインド“は動詞として「思い出させる」の意味で使われています。言語は時代とともに変化してゆき、現代の日本語はカタカナ英語で溢れています。カタカナ英語の良し悪しではなく、良い日本語があるのに意識してカタカナにして流行に追いついたような錯覚に陥るのはどうかと思います。例えば、日本語の固有名詞に〝ザ”を付ける。お見合をマッチメーキング、引退をリタイア、水族館をアクアリウム、舞台をステージ、装飾品をアクセサリー、旅行をツアー、鳥観測をバードウォチング、遠隔作業をリモート、意見の一致をコンセンサス、我が家をマイホーム、自家用車をマイカー、個人番号をマイナンバー、傾向をトレンド、例をあげればきりがありません。逆に日本語が英語の中に浸透してそのまま日常的に使われている場合もあります。例えば、サケ、タタミ、ミリン、ジュードー、カラテ、ハシ、イケバナ、等々。カタカナ英語は名詞が殆どですが、動詞もカタカナにしている場合もあります。例えば、諦めるをギブアップする、店を開けるを店をオープンする、討論するをディスカッションする、等々。カタカナ、ひらがな、漢字と、われわれ短歌を創作する者はその時々に適した美しい言葉を探し、意識しながら言葉という道具を最大限に生かしていきたいと思います。

(千代) 確かに忙しい日々を過ごしていると、食べ忘れてしまうものもでてきますね。自分自身にメモを残すことの日常の一場面がよく捉えられていると思います。

(白樺)最後の語「日々は」は「日々」ではどうでしょうか。

(北里)生活感が出ていてよくわかる歌です。具体をしぼっているのが良いですね。私も何でもメモに書くようにしています。残念なことに、それでも忘れます。

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