担当:宇津木千代
今月は白樺ようこさんの歌を取り上げました。
原歌:頂上の岩場に立ちて眺むれば薫るみどりは額にすがしき
最終歌:頂上の岩場に立ちて眺むれば波打つみどりに疲れ吹き飛ぶ
最終歌としてはまだ物足りないものがあります。結句で結論を出してしまっているからです。この結句は言葉では表さず、読者をして”疲れも吹き飛んだだろうなあ”という感じをもたせればいいのであって、結論を出してしまうと、読者の想像の余地がありません。また、”疲れ吹き飛ぶ”という成句も常套句ですね。しかし、この歌を取り上げたのは、常套句ではなく、岩場に立って溢れるほどの緑を眼下に眺めた時に、原歌では”薫るみどり”という、使い古された常套句を指摘されると、”波打つみどり”と表現を変えた点に、注目をしました。読者にも”薫るみどり”よりも”波打つみどり”と、活き活きした表現の方がより情景がアピールしてくるのではないでしょうか。自分の表現、個性とは、こういうことを言うのです。そのことを伝えたいと思い、今月は白樺さんの歌をとりあげました。
今月は白樺ようこさんの歌を取り上げました。
原歌:頂上の岩場に立ちて眺むれば薫るみどりは額にすがしき
最終歌:頂上の岩場に立ちて眺むれば波打つみどりに疲れ吹き飛ぶ
最終歌としてはまだ物足りないものがあります。結句で結論を出してしまっているからです。この結句は言葉では表さず、読者をして”疲れも吹き飛んだだろうなあ”という感じをもたせればいいのであって、結論を出してしまうと、読者の想像の余地がありません。また、”疲れ吹き飛ぶ”という成句も常套句ですね。しかし、この歌を取り上げたのは、常套句ではなく、岩場に立って溢れるほどの緑を眼下に眺めた時に、原歌では”薫るみどり”という、使い古された常套句を指摘されると、”波打つみどり”と表現を変えた点に、注目をしました。読者にも”薫るみどり”よりも”波打つみどり”と、活き活きした表現の方がより情景がアピールしてくるのではないでしょうか。自分の表現、個性とは、こういうことを言うのです。そのことを伝えたいと思い、今月は白樺さんの歌をとりあげました。
(千代) 「薫るみどり」という既成の言葉が先にきてしまって、その言葉をそのまま使ってしまう、ということはよく起こりがちですが、創作者としての歌人は、既成の熟語や常套句を排除して、まず全身心での感じを、言葉化することが、歌人としての矜持ではないか、と思います。難しい言語や装飾された言葉を使う必要はないと思います。生きている言葉、読者が「ああそうか」と感じられる表現を工夫し,創っているいくことが大切だと思います。
(中井)何だか良くまとまっている歌なのに、スーと流れて行ってしまいました。
(北里)頂上は「岩場」でも、眼下には薫るほどの「みどり」が広がっているのでしょう。「額にすがしき」はなぜ「額」なのかなと思いました。
(深沢) どこか山登りに行かれたのでしょうか。そこから見える景色の様子が手に取るようにわかります。
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