今月は中居久游さんの歌を取り上げます。
原歌; どの部屋も高齢者らで埋まりゐる病棟ゆるくへの字に曲がる
この歌には発見があります。小さな発見ですが、おそらく
短歌を詠んでいない人が、高齢者の多い病棟の廊下がゆるく曲がっているなあ、と気づいても、そのままで終わってしまうと思いますが、短歌を日常的に詠んで いる人は、その気付きが歌となって表現される、と思います。それは、その人がこの世に生きている命が、言葉となって残されていくことではないでしょうか。 時には詠うことで、生きづらいこの世の中を乗り越える力が湧いてくることもあると思います。日々の気づきを大切にして、それを表現する何らかの手段を持っ ていることは、一つの幸せにつながることと思います。
会員の講評
(千代) 高齢者を出して、“ゆるくへの字に曲がる”ととらえたところは、とてもいいと思いますが、病棟がへの字に曲がるのですか?この歌からは廊下がへの字に曲がっているのではないか、と推察しましたが?
(中井)そうです、病棟の廊下です。病棟が曲げて作ってあるので廊下も曲がっているわけで、そこまで言わずとも分かる
と思います。
と思います。
(北 里)超高齢者社会の日本をユニーク視点から詠んでいて面白いです。「ゆるくへの字に曲がる」とは本来の90度が少し広がって曲がっているということなので しょうか。高齢者を考えて作られた廊下かどうかわかりませんが、そうであれば廊下は遠くまで見通せてやさしい設計ですね。初めて聞きましたが、未来的なデ ザインなのでしょうか。(中井)私の感覚ですが、真っ直ぐではなく160度ぐらいの角度で曲がって
いるのです。 高齢者を考えて作られた廊下かどうかわかりませんが、そうであれば
廊下は遠くまで見通せてやさしい設計ですね。確かに真っ直ぐな廊下よりも柔らかい感じを受けました。
いるのです。 高齢者を考えて作られた廊下かどうかわかりませんが、そうであれば
廊下は遠くまで見通せてやさしい設計ですね。確かに真っ直ぐな廊下よりも柔らかい感じを受けました。
(白樺)結句の「への字に曲がる」の視覚にうったえる表現がよいと思います。
(中井)「くの字」ではなく「への字」というところに気を引かれました。高齢者施設ではなく一般の市民病院なのですが、入院患者は高齢者ばかりです。入院患者への配慮
が感じられる設計ですね。
が感じられる設計ですね。
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