2023年2月23日木曜日

2023年2月 Eメール短歌会 今月の歌

講評
紫:作歌者の応え
講評を参考に推敲した最終歌

担当:北里かおる

今月は宇津木千代さんの歌を選びました。 

元 歌:窓越しに見る俄か雨母想ひ口遊む歌「あめあめふれふれ」
最終歌:窓越しに見る俄か雨母想ひ口遊む歌「あめあめふれふれ」

「反復表現を入れて~畳語、畳句、リフレイン~」を題詠としました。

『あめふり』は作詞:北原白秋、作曲:中山晋平、作られたのは大正時代、ずっと歌い継がれてきた馴染みのある童謡です。まず「あめゝ」「ふれゝ」と畳みかけて始まります。合評にも書きましたが、歌っていくと畳語が次々と繰り出されてくる童謡です。短歌は結句では終わらず、頭の中では書かれていない童謡の歌詞が自然と続いていくのです、「ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン」と。題詠の生かし方がマジックのように鮮やかだったと思います。

また、にわか雨に故郷を想い、母を想い、失ったものを重ねる、寂しさが波となって押し寄せてきます。童謡歌詞の中の「やなぎの ねかたで ないている」あの子が詠み手と重なって見えてくるようです。

合 評

(白樺)懐かしい唱歌をうまくリフレインに取り入れていますね。
(深沢)幼い頃に歌って頂いた童謡を思いだされたのですね。リフレイン豊富なタイトルで今月の題詠にはぴったりですね。

(北里)懐かしい童謡です。リフレインが楽しい歌で、「ピチピチ チャプチャプ ランラン」まで読み手の思いが進みます。表記されていなくてもリフレインが続く、上手に使われたと思います。

2023年2月1日水曜日

2023年1月 Eメール短歌会 今月の歌

=講評、=作歌者の応え=講評を参考に推敲した最終歌

担当:白樺ようこ


今月は深沢さんの歌を選びました。身近な切り取りで作者は日常的に植物に水をやったりしてお世話をしているようです。「この部屋」とありますからその植物は室内に置いてある観賞用の植物かもしれません。親切をほどこしている相手がもし人であれば、こちらに顔を向けていつもどうも有難うとお礼を言うところですが、植物はみなお日様に顔を向けている。植物を擬人化しています。人にお世話されているとはいえ、植物は正直で生きる為に大切な明るくて暖かい陽の光がまず大切な様ですね。人間にもあてはまるようで親切をしてもなんの得にもならないからやめようと言う見返りを期待する親切心はやはりない方が良い。


*親切が空回りするこの部屋で植物はみな陽光を向く

 

(白樺)上の句の状況がうまく掴めませんが、親切をほどこしているのは作者で植物に対してでしょうか?(はい。)

(北里)親切の空回りとは、何かいらぬおせっかいがあったのでしょうか。有難いものを素直に有難く受け取っている植物の習性と人間の対比が面白いと思います。


(千代)一句目、二句目の表現がとてもいいと思いますが、親切と空回りがどういうことなのか、4句、5句で分かるかな?と思ったのだけれど、まだ推察しきれませんので、どこかにヒントがあるといいのではないか、と感じました。


最終歌:親切が空回りするこの部屋で植物はみな陽光を向く