2022年8月29日月曜日

2022年8月の合評と短歌

 担当:宇津木千代

元歌:      原爆の無き世を願ふ千羽鶴大空に飛べよサダコの手より            

最終歌:  原爆の無き世を願ふ鶴一羽拾ひて戻さむサダコの掌へと

作者はシアトルのPeace Parkにある”サダコの像”を訪れました。その時の印象を次のように書いています。「その時のPeace Park は手入れが行き届いていないで、雑草が周りに生えていて鶴一羽が草むらに落ちていました。今の不安定な世の中をを象徴しているようでした。」と。この状態こそ歌に詠うべきだと思ったのですが、最終歌はそのようになっていました。元歌は抽象的で、観念の歌になっていますが、作者が実際に見た、感じたその小さな一点を詠うことこそ個性ある歌になるわけです。「原爆の無き世を願う」は、平凡すぎる、個性なき表現なので、初句を工夫し・・・・草叢に落つる鶴一羽拾いて戻さむサダコの掌へと 表現すると、もっとインパクトがあるように思います。

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