2021年4月29日木曜日

令和三年四月円居短歌会合評

 

今月の短歌

担当:宇津木千代

元歌: 電子の世グーグルマップで検索の我が家をズームで望郷にひたる                                          最終歌:電子の世グーグルマップで検索の我が家をズームで望郷にひたる

今月の短歌は白樺さんの歌を選びました。結句を結論付けて詠ってしまったことは残念ですが、現代社会の一面をとても上手く切り取っています。初句を「異国にて」として、結句を「じっと見つめゐる」とかにすると、読者は作者の状況を様々に想像出来、歌にふくらみをもたせられると思う。

(千代:いい観点を詠みましたね。いいと思います)
(北里:先日旭川の実家を検索したら何年も前のものらしく、父の姿があり、犬はしっぽだけが写っていて笑えました。同時に今は見ることができない情景に悲しくもなりました。視点がおもしろく、故郷を想う気持ちが伝わる歌ですが、初句は今更言わずもがなでは。)

(深沢)今のご時世にふさわしい1首ですね。世界中どこでも見ることが出来ることは便利ですが、脳裏の中にあるあの頃のあの時として残しておきたいような気もしました。


2021年4月6日火曜日

令和三年弥生の短歌と合評

担当:深沢しの

  歌: ほうれい線マスクの下で深くなる会話の減って笑いも減って

最終歌: ほうれい線マスクの下で深くなる会話が減って笑いも減って

    今回は北里さんの歌をとりあげました。

 ほとんどの女性が大変気にするほうれい線について詠まれていたので、興味が倍増しました。

 みうらじゅん氏の『アレの名前大百科』をぱらぱらと見ていると、「法令線」の文字が見えました。もしかして、と説明を読んでみると、以下のように書いてありました。
 加齢によってできる、小鼻から口元にある八の字のシワは法令線といいます。医学の専門用語では鼻唇溝と呼びます。東洋医学がその起源ではないかという説があります。東洋医学では古くから、医師はこの顔のシワをみて骨盤の状態を判断したようです。シワが左右対称でない人は骨盤が悪くてまっすくに歩けない人、つまり法令を守れない人と判断されたため、これを法令線と呼ぶようになりました。豊かに年齢を重ねた証しであるという意味合いから、豊鈴線(豊麗線)と書かれることもあります。

  笑った時にできるほうれい線は、実は自分が思うほど老けて見えないそうです。そうはいっても口横のしわ(ほうれい線)に悩んでいる人にとっては、深刻な悩みです。「老けて見えない」と言われても私のようにコンプレックスに感じていると、納得することが難しいと思います。

 「笑顔によるほうれい線がなぜ老けて見えないのか」は、顔は一枚皮でつながっていますから、表情で顔の色々な部分が連動して動きます。笑って口の端が上がった時に、頬との間に溝ができるのは顔の構造上当たり前なのです。

 基本的に笑顔でできるほうれい線の溝は老けてみえるものではないそうです。小さな子供や赤ちゃんにもあるものなのです。老けとは全く関係ないことがわかりますよ。笑って口横の溝が深くなるのは当たり前。それを必要以上に恐れてしまうと、笑顔を作れない私のように魅力のない顔になってしまう危険性があります。

 

深沢)自分のほうれい線も年を重ねる毎に深くなり今はマスクで隠せますが、とても共感できる1首です。人と会う機会がまずないので、ますます笑顔が無くなります。

(千代) 第四句と結句「・・・・・会話の減って笑いもへって」とありますが、“会話も減って笑いも減って”としなかった意図がありますか?(北里)コロナ禍で授業の形態も変わり、話し合いやペア活動もできませんでしたし、黙食の奨励など、まず「会話」自体が減った現実、それゆえ「笑いも」減った、というように感じています。老けた自分にがっくりきます。

(白樺)生活や環境の変化が顔の”ほうれい線”に及ぼした影響に目をつけたところがよいですね。ほうれい線とは漢字で豊齢線ですね。ひらがなにした理由は?北里)日常であまり漢字表記を見かけないように思いましたので。内容からも仮名のままで良いかと思いますが、どうでしょうか。