担当:北里かおる
元 歌: *だだつ広い田舎家に在りて育みし夢はアメリカ 十三の歳
最終歌: *だだつ広い田舎家に在り育みし夢はアメリカ 十三の歳
今回は宇津木さんの歌を選びました。アメリカへの憧れを詠うのに他でもない“13歳”を持ってきて、「十三の歳」と13歳を際立出せた結句表現が効いています。13歳はちょうど中学生になり、自我を“育む”思春期真っただ中の年齢です。心や体に急激な変化がおこり、自分自身と向き合い始めます。「だだつ広い」と強調した表現には、親離れが始まり、自分の生き方を模索し始める、ある意味孤独で不安定な心のあり様につながるものが感じられます。私も田舎の小さな町に住む夢見る少女であったことを思い出しました。当時オズモンドブラザーズのダニーが大好きで、いつの日か渡米したらダニーに会ってデートができるような気分になっていました。誰にでもそのような日々、何らかの思い出があるのではないでしょうか。
合 評
(深沢)幼いころにアメリカを夢みていたのですね。わかりやすい歌です。
(北里)今はコロナ禍ですが、自由に海外渡航ができ、アメリカにも簡単に留学したり行くことができる今と違って、1950〜60年代はまだまだ海外は遠く、憧れや夢の時代でしたね。渡米を夢見る田舎の少女だった自分の若さへのオマージュでしょうか。
(白樺)3,4句目が句またがりになっていて結句の前に一字あけたところが構成的に新しく感じられます。
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