担当:深沢しの
元 歌: 地下街に恒例となり菊花展行き交う人の空気変えたり
最終歌:
地下街に恒例となる菊花展認知症の母連れだして見る
11月の歌は題詠歌で北里かおるさんの歌を選びました。地下街で菊花展が行われているということにとても興味を覚えました。地上ではなく、地下で行う理由と場所の有効活用が素晴らしいと感じました。北里さんが“歩行空間が別世界になった”と加筆していましたが、見慣れた風景をまるきり別の空間に変えるということのインパクトの強さがどれだけそこを通過する人の心を和ませるのか嬉しい気持ちにかられました。
自分では遠い昔、明治神宮で菊花展を見て、花の醸し出す色彩を楽しんでいました。時代が変わるにつれ、伝統的なものも姿や形を変えていくのだと、浦島太郎になった気分で味わうことができた1首でした。
<合評>
(千代) “・・・慣例となる菊花展”ではないですか? “なる”は菊花展を修飾しているのですから、終止形ではなく、連体形になるはずです。意味はよく分かりますが、“空気変えたり”の“空気”が気になる言葉ですね。(北里)連体形で「なる」となるのですね。了解です。「恒例」は調べましたがこちらの漢字表記で良いと思います。歩行空間が別世界になったことを言いたかったのですが、最終歌では視点を変えました。
(白樺)季節感のあるお歌です。どの地方の催しとかが分ると具体性がでます。「空気を変える」と結論を出さずに何気ない具体描写でそれとなく空気が変わっていることが伝わると余韻がでるようです。
(深沢)地下街で菊花展が行われているとは驚きです。場所はどこでも可能なのですね。秋を感じる風情のあるものですね。(北里)1963年から毎年11月上旬に行われている「さっぽろ菊まつり」では地下歩行空間や地下街オーロラタウンで3日間行われます。丹精込められた千点もの菊が並びますので、見ごたえがあります。大臣賞や知事賞など入賞作品を見るのも楽しみです。