2018年7月10日火曜日

2018年6月の短歌と合評



担当:北里かおる                                                                                                             
6月の題詠は「揺れる」でした。今回は宇津木さんの短歌を選びました。
この歌の良さは、下記の合評にある通りです。「決断」の意味するところが深く重い歌だと思います。犬の世話をしているうちにその犬を飼いたいという思いが強くなった。が、いろいろ思案して飼いたいという思いに終止符を打ち…。その後のことは詠われてはいませんが、単なる別れだけではなく、殺処分などつらく悲しく「決断」があったのではないかと想像させられます。ついえる命に思いが及ぶと、詠み手の心の揺れ幅はひじょうに大きいものだったことに気づかされます。さらっと詠っていますが、題詠の「揺れる」という言葉をよく生かしている歌だと思いました。

  原歌:迷い犬四日養い決断す揺れる心にピリオドを打ち

<合評>          
(北里)「捨て犬」なら保健所に連絡し殺処分にされることを念頭にした「決断」だったことが暗に伝わる歌になり、ペットの育児放棄が問題になっているので社会詠として良いと思います。「迷い犬」だと捨てられたのではないかもしれませんね。読み手の受け止め方は、飼い主を探そうとするかな、などとなるかもしれません。
(すえまつ)ストーリーが明確で良いと思います。この犬にとってはバッドエンドでしたが、そういうケースの方が多いので共感持てます。
(深沢) 結句から一体この犬は動物保護に引き取られたのか、そのまま迷い犬からそのうちに引き取られたのかどちらになったか考えることが出来興味津々です。
(白樺)動物との決別の心情を「揺れる心にピリオド」としたところがよいと思います。

最終歌: *迷い犬四日養い決断す揺れる心にピリオドを打ち

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