担当:宇津木
原歌:少年の吹くシャボン玉ゆっくりと私の髪に触れて消え行く
今月の短歌は、萩さんの歌を選びました。結句のことを合評の中で書きましたが、実景の描写にどうしても納得がいきません。もしかしたら、私の記述の意味を理解してもらえなかったのではないか、とも感じましたので、再度ここでもっと詳しく書きたい、と思います。「消え行く」という表現ですが、これはある程度の時間的な長さがあります。たとえば、「日没の光が消え行く」「汽車の汽笛が消え行く」と言うふうに、徐々に消え行くのです。シャボン玉が消えるのは一瞬ではないでしょうか?パチンと消えるのではないでしょうか?野口雨情の「しゃぼんだまの歌」も「消えた」となっています。例えば、「・・・・・触れて消えにけり」(消えてしまったことだなあ、過去詠嘆)あるいは「・・・・・私の髪をかすめて消えぬ」(消えてしまった、過去完了)というふうにも推敲できると思います。それが実景に合った表現だと思えます。
(千代) 結句ですが、シャボン玉が髪にふれて消える時には、パチンと一瞬に消えますから「消え行く」という余裕はないのではないでしょうか?それから、自分の髪に触れたシャボン玉は見えないのでは?(萩)はっきりと見えたわけではないのですが髪に触れて消えたということは感覚でわかります。 (中井)風が目に見える様で、とてもいいと思います。
(北里)シャボン玉の儚さを詠っていると思いますが、少年と詠み手との距離感や関係がわからないためか、心情をどう受け止めてよいのか、つかめませんでした。
(白樺)のどかな情景が浮かんでよいと思います。
最終歌;少年の吹くシャボン玉ゆっくりと私の髪に触れて消え行く
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