2022年9月29日木曜日

2022年9月の合評と短歌

担当:白樺ようこ


今月の題詠は社会詠ということで北里さんの歌を選ばせていただきました。社会詠は内容の幅が広くどの主題を選ぶか、どの角度で捉えるか、どのようなアプローチで歌を詠むかも難しくよい挑戦になったと思います。2022年の現代社会も諸々の社会問題を抱えています。原爆、ミサイルの脅威、戦争も実際に起こっています。今月とりあげた歌は悪用したら戦争にも繋がりかねない原発に焦点をあてています。作者は海に囲まれた日本に住んでいます。すぐお隣は北朝鮮、ロシア等、政治的イデオロギーの異なる国からの脅威も、特に最近の北朝鮮のミサイル打ち上げ等により身近に感じられることと思います。これはまさに見えざる国の見えざる脅威であると思いますが、歌としては概念語のまま無難にまとめられている感じでもあります。太田青丘氏の「短歌開眼」の社会詠についての一節を参考までに。「・・・総じて時局、社会詠は総論的に大くびりに歌う歌と、えてして概念的になり上滑りしやすいので、努めて身近な事象を通して背後の大きなものを暗示するか、数歩退いて斜交いに歌う方が、より効果をあげやすいように思われる。・・・この場合は公理公論でなく、作者自身にとりこんで、事物の本質に肉するものでありたい。」


原歌:       原発の岬の海の向こうには見えざる国の見えざる脅威
最終歌:   原発の岬の海の向こうには見えざる国の見えざる脅威


(千代)結句の見えざる脅威はよくわかりますが、4句目ですが、見えざる国なのでしょうか?よく見えているのでは?(北里)北海道に住んでいると北朝鮮、ロシアはすぐ隣の国ですが実際に陸地は見えませんし、北方領土の一部見えますが日本固有の領土というとらえ方があります。また何を考えていてどこに向かって進もうとしているのか理解できませんので、二つの意味を託して使いました。
(白樺)海の向こうの見えないとはロシアのことでしょうか?原発のたくさんある日本も危惧すべきです。(北里)先月積丹へいきました。今は稼働していませんが泊原発があります。ウクライナみたいに原発をやるぞとミサイルで脅されたら大変なことだと改めて思いました。脅威はロシアだけでなく北朝鮮なども考えられますが、日本政府の安易に原発に頼ろうとする姿勢自体が危険だとも感じています。。
深沢)原発が抱える問題は人間を恐怖に落とし入れます。平和的利用が出来るよう各国考えるべきです。