担当:北里 かおる
元 歌:共々に老いゆく姿笑ひ合ひ今朝も気軽く一日を始む
最終歌:共々に老いゆく姿笑ひ合ひ今朝も気軽く一日を始む
戦争、感染病、自然災害、テロや発泡事件、等々、嫌でも飛び込んでくるのは暗いニュースばかりです。4月の「ユーモアのある歌」では、出そろった短歌がどれも楽しいものばかりで嬉しくなりました。詠むのも読むのも気分が上がりました。そこで、二番煎じではありますが6月題詠を「笑う」としました。取り上げたのは宇津木さんの短歌です。永六輔さんの『無名人 名語録』に「子供叱るな来た道だもの 年寄り笑うな行く道だもの」という言葉がありますが、続ぎがあるそうで、「来た道 行く道 二人旅 これから通る今日の道 通り直しのできぬ道」と続くそうです。元は仏教からきている言葉のようですが、示唆に富んでいます。宇津木さんの歌は、自分の老いも連れ合いの老いも前向きに受け止めて、夫婦仲良く笑って生きていこうという思が伝わってきます。羨ましく思える朝の時間です。
合 評
(白樺)人生の旅路を長らく共に歩んできたご夫婦の日常がさりげなく詠われていてよいと思います。 (北里)一緒に笑える人がそばにいるというのは良いですね。悪意なくお互いの老いを笑い飛ばすような感じなのでしょう。「気軽く」に老夫婦の明るい姿が思い浮かぶ歌です。 (深沢)笑いは膠原病のみならず、癌、リュウマチ、糖尿病、アレルギーなど多くの病気の治療や予防に有効で、強力な鎮痛効果があり、ストレスを和らげ、脳血流を活性化するという知見が蓄積されていてまさに「笑いは百薬の長」であることが科学で実証されていますね。共に笑えることが羨ましい限りです。