2021年7月31日土曜日

令和三年 七月の短歌と合評

 2021年 七月の短歌と合評

担当:深沢しの

元  歌: 蝉籠にそよ風みたいな野の花を活けて遺影の父に捧げる

最終歌:  蝉籠にそよ風みたいな野の花を活けて遺影の父に捧げる

 

   今回は北里さんの歌をとりあげました。

   

 2021年の夏は、地下から数十億匹の「ブルードX」と呼ばれる周期ゼミの一種が、17年に一度のサイクルでアメリカの大西洋に面した中部諸州や中西部などで大量発生するの種が出てくるので7月の題詠は蝉がつくものにしようと考えていました。

 セミは、アメリカでは比較的あまり見ない昆虫。東部では毎年少数が地上に出てくるが、これまで周期ゼミを経験していない若者や周期ゼミも発生しない西海岸では、そもそもセミを見たことがない人も多いのが事実です。

 北里さんの歌を詠んで自分の頭の中には、由紀さおりと安田祥子が歌う「みどりのそよ風」の歌詞が思い浮かびました。美しかった想い出がたくさん詰まっているようでした。蝉籠に活ける野の花をそよ風みたいと表現したところにはともてほっこりとしました。

 

(深沢)2句と3句目からお父様がどのような人であられたかが感じられます。

(白樺)「そよ風みたいな野の花」が下の句のお父様の遺影と重なって美しくも儚い命という大きな課題にも通じるところがあります。

 (千代)“そよ風みたいな”という表現がいいですね。