2021年2月1日月曜日

今月の歌

 担当:白樺

今月は北里さんのお歌をとりあげました。雪が一日中降り続いている冬の情景の切り取りで、いつもならにぎやかに餌箱に集まっている雀は今日はどこにいるのだろうと作者は思いやっています。最終歌では“しんしん”とという表現が“こんこん”に変わっています。どちらの言葉も雪が静かに降っている情景を修飾する言葉ですが“しんしん”は漢字で“深深”又は“沈沈”と書き、辞書によると“しんしん”は奥深く静寂なさまという意味の他に“しんしんと冷える”のように寒気の身にしみるさまの意味でも使われます。一方、最終歌の“こんこん”はどうでしょうか。作者は“こんこん”の本来の意味は“雪やこん来(こ)”で雪よ降れという意味だと書かれています。この場合はオノマトペとして使われていて雪やあられがしきりに降るさまを音的に表現しています。それでは“しんしん”と“こんこん”の歌としてのニュアンスの違いはどうでしょうか。私自身としては、“しんしん”は奥深さがあり一層静寂さを強調しているように感じ取れます。“こんこん”も雪がしきりと降るさまを表していますが、音的に軽やかさがありリズム感があるように感じます。

原歌:一日中しんしんと雪の降り続き巣箱に集いしスズメや何処に

(千代)雪の降っていない時には巣箱にスズメが集っていたのですね、でも雪がしんしんと降り続いているので、どこへ行ってしまったのか、この寒いのにという思いなのだと解釈しました。ところで教えて下さい、巣箱には鳥が卵を温めて雛を孵すために巣篭る箱なのですよね、だから鳥たちが集うとはならないのか、とも思えますが?餌箱は鳥の餌を置いておいて、多くの鳥たちが集うという解釈をしていましたが?(北里)その解釈で。手作りする人もいるようですが、よく見かけるのは市版の巣箱で、巣箱の台に米が置いてあって、それが今なら雪の上にも落ちて、20~30羽、集団で来て食べています。敵を恐れてかちょっとついばんでは飛び立ちを繰り返します。賑やかというか騒々しいというか・・・。

(白樺)「しんしん」は使い古された言葉なので独自の言葉で表現できるとよいですね。(北里)まさに「しんしん」という状況だったのですが、チャレンジしてみました。きりがないイメージをもつ「滾々」を念頭に「こんこんと」としてみました。「雪やこんこん」と歌われることが多いようですが本来は「雪やこん来(こ)」で雪よ降れ、という意味だそうですが、そこもちょっとかけてみました。

(深沢)しんしんという言葉の効果が良く出ているので、本当にスズメの行方が気にかかります。自然の中で生きることの厳しさが伝わってきます。

最終歌:一日中こんこんと雪の降り続き巣箱に集いしスズメや何処に