担当:深沢しの
元 歌: オスばかりししゃも十匹三百円かわいた眼(まなこ)は空(くう)を見つめる
最終歌: オスばかりししゃも十匹三百円かわいた眼は空を見つめる
今回は北里さんの歌をとりあげました。
いろいろな魚を触ってきた魚屋さんに聞いた話を思い出しました。オスよりメスの方が「身の味がうまい」魚ってほぼいないと思うと聞いたことがあります。特に白子や卵持ち出すとその差は顕著に現れ、触っただけで質の優劣がわかるくらいだと言われました。
それを踏まえて本シシャモはじゃあどうなんだろうと聞いた時、200万%オスの方が美味しいと言われました。食べ比べればわかることなんだそうです。好みなどの個人差はあれどこれは結構間違いないそうです。しかもこの本シシャモは見ただけでオスかメスかわかるそうです。とにかく魚屋さんには「自分で触ってみろ」と言われました。
子持ちししゃもではなく、オスばかりししゃも10匹と安価でおいしいししゃもにとても興味をそそられました。
(千代)作者が魚売り場で、買おうか買うまいかちょっと迷っている姿が浮かび上がりました。詠っている風景が脳裏に浮かび上がってくる歌は、良い歌だと思います。
(深沢)カラフトししゃもなのでしょうか。身に栄養を取られるメスとは違いオスは身が美味しいといわれますよね。空を見つめて言るししゃも、パーッケージの中での行儀良さが想像できます。
(白樺)オスのししゃもなので子は入っていないが値段ばかり高く眼がかわいているのでさほど新鮮でもなさそうだとがっかりしていることを言いたかったのですね。(北里)そのように解釈して頂いてもよいのですが、小さめでもメスは10匹で千数百円しますので、オスは安いです。油ののった子持ちシシャモと味は比べ物にならないだろうと思いつつ、買って食べてみました。眼が乾いているのはシシャモは生干し状態で売られているからです。オスに生まれて安値で売られて、私の胃袋に納まった、ということでした。