2020年4月29日水曜日

2020年4月の短歌と合評



担当: 北里かおる
                                                                                                             
 歌: 病室窓越しにう”大丈夫れぬ薄曇りの午後
最終歌: 病室の窓越しに問う「大丈夫」晴れぬ心に薄曇りの午後

4月の歌は、深沢しのさんの歌を選びました。
新型コロナウイルス感染の影響で混乱が続いています。4月はコロナウイルス関連の歌が多く提出されました。皆の心に重くのしかかっているのだと改めて感じました。この歌はコロナウイルスと限定して詠まれてはいませんが、心情が重なります。白樺さんの講評にあるように、不安な気持ちと薄曇りの取り合わせがとてもマッチしていて心に届きました。その問いには「大丈夫」と答えたい。政治も絡み不安定な状況が続いていますが、一日も早く事態収束し平穏な日常が戻ってくることを願ってやみません。
                                                                                                              
<合評>
(北里)病気のことを思って不安な気持ちを詠んだものかと思います。窓とは外が見える窓ですよね。その窓越しに誰に問うたのか、自問自答ということでしょうか。(深沢)病院の面会は今家族でも禁じられています。外に面した窓越しの面会です。入院しているのは自分なのか、他の誰かなのか、どちらかなと思いました。(深沢)友人です。
(白樺)薄曇りの空と相まって不安にゆれる心象風景を描写しています。「大丈夫」を初句にしてから「病室の窓越しに問う」とすると焦点がより強調できるのでは。