2020年2月9日日曜日

2020年1月合評

担当 白樺

今月は宇津木千代さんのお歌を選びました。
歌の焦点は”エコー・ドット”という名前の製品で現代のハイテック風潮が切り取られています。どんどん進んでいく新しい技術に遅れ気味でそれがどういう物であるか知りませんでしたので検索してみましたらVoice Speakerであることが分りました。スマートフォン等でも音声をデジタル化して色々なディバイスとコミュニケーションを図ったり質問を音声で入力するとそれに答えてくれる技術もあって驚くばかりです。無機質な機械を結句で”監視”という言葉で人間であるかのように捉えたところが人工知能が人間社会に浸透していく現代にあって共感が湧きます。

(原歌)エコー・ドット キッチンカウンターに鎮座して不気味に吾を監視しゐるごと
(北里)話しかけるだけでいろいろやってくれるなんて、便利になり過ぎた感がありますね。便利さを「監視」という視点で捉えたのがおもしろく良いですね。「不気味に」はどこにかかりますか。エコー・ドットの存在自体が不気味なのか、監視されているようでを詠み手がその存在を不気味に感じているのか、(千代:ちょっと講評の意味が分かりませんが、歌の中で、特別に表現していない限り、常に“吾”は詠み手です。不気味には、監視に係ります。)そこをはっきりさせるとすっきりするように思います。
(白樺:エコー・ドットとはどういうものなのか知りませんが、ハイテックの新しい製品と思われます。もしかしたら現在話題の人工知能を使っているものなのかなと想像が膨らみます。音読すると初句でカタカナが長く少しぎこちない感がしました。)
(深沢)同じく、部屋の中にある機械にいつも見張ってもらっている気がします。迂闊に言葉を発せない気遣いはありますが役立ちます。身近なものを取りあげることの大切さを感じます。

(最終歌)エコー・ドット 台所に鎮座して不気味に吾を監視しゐるごと