担当:宇津木千代
4月の歌は、北里かおるさんの歌を選びました。
元歌: 残されし裁縫箱の凹みには縫い物好きの母の面影
最終歌: 残されし裁縫箱の凹みには手仕事好きの母の面影
母親を詠った歌は、ほとんどの歌に、読者の心を打つものがあります。この歌も例外ではありません。とくに裁縫箱の凹みという、長い間使っていたために凹んだのでしょうが、その凹みに母親の面影を見たところが、とてもいいと思いました。ただ最終歌で”縫物好き”を ”手仕事好き”と直してしまったことを残念に思います。手仕事という言葉が持つ印象は、縫物とは少し離れてしまうのではないか、と感じるのですが・・・。手仕事には大まかな中にはお裁縫も含まれるかもしれませんが、手細工とか手工を頭に浮かびます。”縫物好き”の方がいいと思いました。
(千代)“残されし”と言う意味が私にはよくわかりますが、たぶん一般の読者には亡くなられたお母さま、と読むと思いますが、それはそれでも十分に通じる歌ですね。裁縫箱の凹みに目が行ったところが、いいと思います。
(深沢)きっと遣いこんだ裁縫箱なのですね。縫い物好きというよりも裁縫好きとした方がいいのでは。(北里)裁縫という言葉を重ねて使うのはどうかな、とおもいましたので「手仕事」としてみました。
(白樺)細かな視点がよいと思います。