2018年10月9日火曜日

2018年9月の短歌と合評

担当:宇津木千代

今月の短歌は白樺ようこさんの歌を取り上げました。お母さまを亡くされ、様々なお母さまとの思い出が脳裏を駆け巡ることでしょう。その一つに、お母さまが幼いころ、男の子のように”スケ”を付けて呼んでいたこと、そして呼んでいたころのお母さまはまだ若くはつらつとしていたことでしょう。その笑顔が姿が、作者の眼交に顕れてくる。切ないほどのリアルさがありますね。


元歌: たわむれにヨースケと吾を呼びくれしありし日の母若さあふるる
最終歌: ヨースケと吾をたわむれに呼びし母 眼交に顕つ母は若しも

(北里)お母様を偲ぶ歌ですね。「ようこ」という名まえを「すけ」を付けて男の子風の呼んでからかったのですね。ちゃっめけのある楽しいお母様だったことがわかります。「呼びくれしありし」がちょっとまどろっこしく感じます。「呼びし母」としても良いのでは。
(千代)三句目4句目あたりが、なんとなくもたもた感じがします。削れる語は削り、簡潔に表現をすると、私流に改作してみました。「たわむれにヨースケと母は吾を呼びぬ 眼交(まなかい)に顕つ母は若しも」
(しの)両親、親せき一同から男の子に生まれてくればよかったのにと小さな頃から言われていましたが、呼び名はお嬢でした。楽しそうなお母様だったのですね。