2015年4月5日日曜日

2015年3月の短歌と合評


担当:北里かおる
                                                                            原歌;一、二、三、四、五 ボールをコートに弾ませてサーブに賭ける真剣勝負                                                                        

 3月は私が題詠を出す番でしたので、たまには題詠の目線を変えてみるのも良いのではないかと思い「数字を活かした歌」をお題としました。詠んでいるときに自然と数字が入ってくることはよくありますが、数字を意識して歌をつくると、どんな歌が出てくるのが楽しみでした。その数字に特別な思いが込められていて、その数字がないと歌にはならないという視点で見て、白樺さんの歌を取り上げました。サーブを打つ直前の勝負に対する思いが伝わってきます。私も以前テニスをやっていたので、状況がよくわかります。サーブを打つ直前の一瞬の何とも言えない緊張感がよみがえってきました。千代さんの講評にあるように心の動きを言葉にしてみるのも良いですし、中井さんの講評にあるように結句を動詞で終わらせるなどすると、さらにおもしろい作品になりそうです。

 (萩)サーブに賭ける真剣勝負という結句に対して前半が少し間延びしてしまっているように感じました。“一、二、三”まででもいいのではないかと思います。                                        (千代) サーブに賭けて、真剣勝負をする時の、白樺さんの心の動き、それを詠うと、読者の心を惹きつけられるのではないか、と思うのです。いろいろな事件や物事に対する自分の心の中の動きを、詳細に表現する、そのことが短歌をふかめていくのに是非必要なことだと思います。それが出来た時点で、白樺さんの歌に変化と深さが増すと思いますが、それこそ真剣勝負で表現と格闘しなければならないと思います。                                                  (中井)サーブを打つ前の、精神を集中させている場面でしょうか。ボールを手でバウンドさせている情景ですね。間合いと緊張感を感じさせます。テニスを知らない人には分からないかもしれませんが。結句を動詞で終わるようにすると、もっと迫力が出るように思いました。                                                                                            (北里)サーブを打つ前の儀式みたいなものですよね。人によって打つ回数やリズムが違うのでおもしろいです。「賭ける」で一回切って決意を言い切り、そのあと一字開けてつなげると結句が生きるように思いました。                                                                         (白樺)定期的に近所のテニス好きな人々とダブルスの試合をします。小柄な私に比べて背も高く頑丈そうで、テニス暦も私よりもずっと長い人に負けたくなくて、内心私は競争心がもりもりと沸きあがります。でもあせればミスをするので最初の数秒間に雑念を取り払って集中力を整えます。

最終歌;一、二、三、ボールをコートに弾ませてサーブに賭ける  真剣勝負