1月は、題詠の題も私の当番で、「雪」と決めさせていただきました。余り難しいお題にするより、時節に合った身近なものの方が歌が詠みやすいと思い、この平凡ながら切実な問題も含む「雪」をお題にしてみました。
アメリカ北東部のハリケーン並みの吹雪は大変でしたし、日本も北海道で、連日の猛吹雪で大変な状況でした。そんな状況の歌が出て来るかと思っていましたが、存外に平凡な視点の歌が多かったようです。
そんな中で、萩洋子さんの歌が印象に残りましたので取り上げました。
如何にも雪国の、厳しい環境に身を置いて生活している人の実感がよく現れていて、とてもいい歌だと思います。特に、下の句の「指に力を込めて歩めり」がいいと思います。長靴の中の指の形が目に浮かぶようです。「雪まじりの風」ですから、猛吹雪という訳でもないのでしょうが、それが却ってリアルな雰囲気を出していると思います。
完了の形になっているので、白樺さんのおっしゃるように、現在形にする方が臨場感が出るようにも思いました。
*雪交じりの風に逆らい雪道を指に力を込めて歩めり
(千代)雪交じりーこれは感覚的な問題ですが、「雪まじり」がいいなあ、と感じます。指ですが、足指ですか、手指ですか?(萩;足の指です、足の指に力を込めて歩かないと転びそうで自然と力が入ってしまいます。)どちらでも納得がいく歌ですが、どちらかはっきりした方が、歌として鮮明になるように思います。花を摘むなどの言葉がある場合は、指がでてくれば、手指に違いありませんが・・・。例えば手指のことなら、「・・・・握りこぶしに息せきて歩く」とか。 (中井)雪交じりの強風の中を、前傾姿勢で歩いている姿が浮かんできました。「指に力を込めて歩めり」がいいですね。
(北里)「指」とあるとまず手を思い浮かべ、最初、よく意味がわから ず、手をぎゅっと握りしめることを言っているのかなと思いましたが、何度か読み返して「歩む」とあるので足の指先のことを言っているだとわかりました。
(白樺:結句「歩めり」を例えば「ずんずん歩む」等の現在進行形にすると臨場感がでるように思います。)