2013年5月11日土曜日

2013年4月の短歌と合評

担当:深沢     

今月は萩洋子さんの一首をとりあげてみました。心が丁度曇ってしまっていた時に考えた題詠だったので、曇りを磨いてピカピカの硝子にしようと思っていました。何度磨いても曇りが取れない、“すり硝子”という表現に心を惹かれましたがそれは今の自分の心のようでした。心の曇りを取ろうと必死に磨けば磨くほど曇った部分が更に広がり、晴れることはないのかとも思いました。“すり硝子のように凍るため池の中に落ちないように赤旗がゆれる”という結句の言葉に目覚めさせられました。どれだけ磨いても曇りは取れなくても、本当は氷だったのです。危険だからそこからはそこには入らない。赤旗の危険だから入らないという教えで、少し心の曇りが取れたような気がしました。

(原歌)すり硝子みたいに凍るため池に立ち入り禁止の赤旗ゆれる

                                     
(千代) “すり硝子のように”のほうがいいと思いますが・・・。“凍るため” 池に立ち入り・・・と読みそうなので、“溜池”と漢字に直しては如何でしょうか。
(中井)雰囲気が出ている歌ですね。すり硝子というより昔の模様ガラスにそんなのがありましたね。
(北里) ため池の表面が凍っているのを「すりガラス」に例えたのは、言い得ていて良いと思います。「赤旗」はプールや海が遊泳使用禁止の時などに使用されていますが、アメリカでは凍っているときにも赤旗をそのように利用するのですね。 
(いずみ)よく見る・認識することの大切さを再認識しました。
(白樺)薄氷をすり硝子とみたところが面白いと思います。     
(もも) 寒い地方にはこのような光景があるのですね。薄い氷が張っている池の表面が見えてくるようです。寒い風が吹いて、赤旗が揺れている光景をみていないのに、とても鮮明に浮かんでくる気がしました。         
(きぬ)凍った池や川、危なくて恐いですね。すり硝子に例えられたのはピッタリだと思いました。
(最終歌)すり硝子のように凍る溜池に立ち入り禁止の赤旗ゆれる