2013年3月10日日曜日

2013年2月短歌と合評

担当 井後きぬ

二月の短歌と合評は奏いずみさんの以下の歌をとりあげました。
建築現場の喧騒や活力が伝わってきて、家が組み立てられて行く様子をプラモデルのようだと感じた作者の感想も新鮮な一首ですが、原歌では上の句と下の句の繋がりが弱く、また表現も散文的な感がありました。最終歌では講評に基づいて表現に変更がなされ、全体的に引き締まり上下句の繋がりもはっきりし、ますます活き活きした歌になりました。                             
(原歌)プラモデル組み立てるごと建ってゆく釘打つ音と大工さんの声
(千代)三句目は、簡単に現代建築は建ち上がってゆくのを、驚きを持って見詰めている作者が、感じられますので、“建ちゆくも”と“も”という詠嘆の助詞を入れたらいいと思います。また、大工さん は、散文的ですから、例えば“大工の訛声”
(中井)3句切れですが、「プラモデル組み立てるごと」というのと「釘打つ音と大工さんの声」は、内容的には繋がりません。すうっと流れてしまって下の句が弱いと思います。敢えてプラモデルを出したのなら、その理由を詠み込むと良いと思いました。
(白樺)歌の主眼をもう少しはっきりさせて結句を工夫するとよい歌になるとおもいます。
(萩)字余りになっても〝プラモデルを″とした方がいいと思います。後半ですが〝釘打つ音″か〝大工さんの声″のどちらかにしてはどうでしょうか。″プラモデルを組み立てるごと建ってゆく釘打つ音に今日が始まる”と考えました
(北里)最近の家は形になったものを運んできて組み立てる方式が多いので、プラモデルと結びついたのですね。後半の音や声が場面を生き生きさせていて良いと思います。
(もも)家が建ってゆく様子は、見ていておもしろくらいどんどんできてゆく様を「プラモデルくみたてるごと」といったのがうまいと思います。「建ってゆく」は、「建ちてゆく」でどうでしょうか。 
(きぬ)プラモデルに例えるところがいずみさんらしくてとても良いとおもいます。全体的に童謡のような雰囲気でまとまっていて、それがまた良いと感じました。結区も良いと思います。

(最終歌)プラモデル組み立てるごと建ちゆくも釘打つ音と大工の諧声
 
(いずみ:骨組みの柱が寸法どうりに用意されトラックで運び込まれる。プラモデルを組み立てるように半日であっという間にその日に上棟式を終えました。ひと昔前と違い短期間で出来上がる様子に驚くばかりでした。時の流れの中で進歩し続けていることを感じます。気持ちのいい大工さん達に恵まれ感謝しています。)