2012年9月1日土曜日

2012年8月の短歌と合評

担当:宇津木

 「八月の円居短歌会合評」から深沢さんの一首を選びました。会員の皆さんからのいろいろな評を参考に、深沢さんが推敲して最終歌として提出した歌-合評の最後にブルーの字で書かれている歌―は、最初の提出歌と比べて、すっきりしたと思います。31文字しかないのですから、説明は必要ありませんし、主役は一事に絞るべきです。欲張らずに一点に集中し、素直に詠ったらすっきりとした歌が詠えるとと思います。

 深沢 しの

(原歌) 8月の日差し斑に零れつつ桃の葉の影地面に揺れる

(萩)桃の葉の影が地面で揺れていると表現したのはいいと思いますが、日差しが斑に揺れると桃の葉が地面で揺れるのどちらかに焦点を当てたらどうでしょうか。

(中井)地面に日差しが「こぼれ」、桃の葉の影が揺れているのですね。斑にこぼれているのは桃の葉の影とは違うのでしょうか。「8月の日差し斑に桃の葉の影をこぼして揺れているかも」ではどうでしょう。

(千代)日差しは“零れつつ”ですから、結句の主語も日差しですから、日差しが“ももの葉の影を地面に揺らす”となってしまいますね。 しかし桃の葉を揺らすのは風ですよね。上の句と下の句の主語が違うのでしたら、三句目で切らなくてはならないと思います。
(北里)「8」は漢数字の方がいいですね。日の光が斑に差してくる、というのはどういう状況なのでしょうか。桃の木の下に居て「日差し」が桃の葉に遮られて地面に「斑に零れ」てくる、というのであれば分かるのですが。

(もも) 8月の日差しがまだらにおちつつ、桃の葉の影が地面にゆれている、という意味でしょうか。

(白樺)八月と漢字のほうがよいと思います。

(きぬ)切り取りがとても良いとおもいます。キラキラとした映像が目に浮かんでくる一首です。

(いずみ)8月の日差しはもう涼しそうですね。仙台は立秋とは名ばかりでしばらくは暑い日が続きそうです。

 〔最終歌) 八月の日差し斑に零れくる暑さに耐える泰山木の下